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     国民性     


フィリピン人の国民性を表現するのに、ホスピタリティー(hospitality)という言葉をよく耳にする。

ホスピタリティー(hospitality)とは;
心のこもったもてなし。手厚いもてなし。歓待。また、歓待の精神のことである。

「フィリピーノ・ホスピタリティ」という言葉もあるように、未知の人にも親切に接する。陽気でいつも笑顔を絶やさず、滅多なことにはへこたれることはない。その親切心で困っている時には、幾度となく助けられた。また、南国によく見られる楽観的/楽天的でお調子者な性向もみられる。

   

フィリピン人は歌と踊りがとても好きだ。いつでもどこでも歌うわ踊るわ。音楽が流れるとショッピングモールや道端、そしてオフィスでもやる。仕事中にいきなり踊り出すんだからびっくりする。しかも、小さい女の子が艶めかしいダンスを踊ったりするんだから面白い。皆が小さい頃から踊っているため、とても真似できないような腰付きをマスターしている。自分はまったくもって踊れないのだが、一緒に踊ろうと常に言われる。また、お喋りと噂が好き。こちらもいつでもどこでも。オフィスで仕事をしている時間とお喋りをしている時間はどっちが多いんだろうと思うこともある。日本の職場でそんな話をしようものなら、すぐにセクハラで訴えられるような内容を女の子が率先して話す。聞いていると面白い。

他人との円滑な人間関係を維持しようとする心を日本人以上に持っている。また、プライドが高く、恥の意識も強く、さらに嫉妬深い。例えば、人前で叱られるのを極端に嫌い、事実、これまで職場においてもその他の場においても、人が人を叱っているという状況を見たことが一度もない。叱る、叱られるという経験を知らない人がほとんどである。 このような性格を考えると、フィリピン人と付き合っていく(仕事をしていく)上で、プライドを傷つけることは絶対にしてはならない。このような話を聞いたことがある。フィリピンの日系企業で日本人の上司がフィリピン人の部下がおかした失敗を同僚の目の前で叱った…日本ではよくある光景だが、フィリピンではタブーとされている。プライドを深く傷つけられたその部下は、会社を辞めたばかりでなく、その上司を刺してしまった。たかが叱るという行為だけである。しかし、日本人には簡単に理解できないような感情をフィリピン人は持っていることを忘れてはならない。

日本人はとても計画的であり、約束を守り、ものごとを緻密に考え、自ら動き、自ら反省し、自分に厳しい(もちろん日本人全てがこうではないが)。そのおかげで、日本は戦後に急速な発展を遂げ、現在の日本国という現状があるのだろう。しかし、今挙げた日本人の資質をフィリピン人は持ち合わせていない。持ち合わせようともしないのである。 フィリピン人とうまくやっていくため、フィリピンで暮らしていくためには、日本的考え方を捨てて、彼らの考え方を受け入れることが一番大切だと思う。

   

なぜ、このような違いが生じるのだろうか。 一番の要素は気候にあるのではないかという説がある。日本だと春夏秋冬といった四季があり、季節毎にやらなくてはやらなくてはいけないことがある。フィリピンのような常夏の国では、何もしなくても果物や穀物が育ってしまうのだ。つまり、生きるために必要な工夫を何もしなくても、飢餓に苦しむことはあまりない。例えば日本のように春に田植えをして、夏に育てて、秋に稲刈りをするといった作業のサイクルを行わなくても、計画なしで一年中栽培することが可能なのである。そんな苦労知らずの環境が、フィリピンだけに限らず、南国の人々に共通の気質をもたらしているのだろう。
一度、童話「アリとキリギリス」の話を聞かせてみたいものである。



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