フィリピン危機遺産
2006/05/10
先日、NHKの「世界遺産の旅【世界遺産からのSOS〜危機遺産からのメッセージ〜】」という番組をみた。
その中で、昨年5月の北ルソンの旅でも行ったコルディエラの棚田(バナウェのライステラス)が特集されていた。 このライステラスは、「世界8番目の不思議」や「天国への階段」とも呼ばれており、世界遺産に指定されている。マニラからバスで10時間という僻地にある観光地だが、その苦労を遥かに上回る感動を味わえた。その景観は圧巻であり、フィリピン国内で様々なところに行ったが最も印象に残っている地の一つだ。 そのバナウェのライステラスが「危機遺産にさらされている世界遺産リスト」に登録されていることを、この番組を見るまで知らなかった。そんな“負”の情報は、フィリピンでも公にされていないように感じる。 「危機遺産」とは、 世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約に基づいて登録された世界的に重要な自然や文化遺産のうちで、すみやかに保全や修復などの手を打つ必要があると判断されたもの。天災による消滅の可能性だけでなく、紛争や開発行為、密猟などによって、世界遺産の価値が損なわれる危険があるものも含まれている。 番組の中では、 コルディエラの棚田は2001年に危機遺産に登録されました。現金収入を求める若者たちが町に出て行き、後継者不足で棚田が荒れ果ててしまったのです。全体の3割が休耕田になってしまいました。と紹介されていた。 解決には時間を要する難題だと思う。 現金収入を求める現地の人たちの気持ちも分かる。 でも、あの目を奪われた素晴らしき景観が失われつつあるのは本当に寂しい。 あのライステラスはフィリピンが世界に誇れる伝統・技術・芸術である。何とか存続させて欲しい。 世界遺産かつ危機遺産に指定されているバナウェのライステラス(2005年5月撮影) コルディエラの棚田(2005年5月撮影) |